資金繰りの悪化の原因を景気や政治、はたまた銀行や他社の動向、
それでも足りない時には売り上げをあげれない従業員のせいにしてしまう社長というのも世の中にはいます。しかし、それは大きな間違いであり、景気が良くなり営業が順調になれば、その社長の会社の資金繰りの悩みがなくなるかといえばそうとも言い切れないものです。むしろ、景気が良くなればなるほど、後々、甚大な資金繰りの悪化を招きかねない状況といえます。たとえば、在庫の長期化という問題は商製品が売れることを前提に投資した結果、売れ残ったことが原因です。また、自社ビルなどの不動産の購入や、生産力向上を目的とした設備投資の判断は、たいていの場合、景気のいい時におこなわれます。その判断が業績の下ぶれも考慮したうえで、冷静に判断されるものなら問題はありませんが、投資判断は右肩上がり、あるいは現状維持のもとになされることが多いのです。このように資金繰りの悪化の種子は景気の良いときにこそ蒔かれていることがほとんどになります。景気の後退や銀行の融資態度の変化、売り上げの減少など、これらが資金繰りを悪化させるのも確かです。しかしこれらの外部要因を自らの力で改善し、変化を起こすことは容易ではありませんし、ほとんど手立てがないといえます。収入は外部要因によるところがほとんどですが、支出は紛れもなく会社のお金の使い方、つまり内部要因に結びつくのです。これが何を意味するのかといえば、仮に潤沢な収入があったとしても、それ以上にお金を使えば悪化するという厳然たる事実に帰結します。そのため、外部要因に目を向けるよりも、まずは社長のお金の使い方をコントロールすることのほうが解決の近道となるのです。
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